

ホテルの運営において、日々発生する設備の不具合や施設の老朽化への対応は、顧客満足度や施設の安全性を維持するために欠かせない重要な業務です。一方で、不具合がその場で解決しないことがある、業務を進めるうえで様々な立場の関係者が携わるといった業務の特性上、運用に課題を抱えているケースが少なくありません。本コラムでは、従来の運用方法における問題点と、それを改善するためのシステム活用のポイントについて、分かりやすく解説します。
紙やExcel運用の限界 ― タイムリーな情報共有が難しい
ホテルや旅館では、発見した修繕事項について電話やメールで施設課や業者に対応を依頼し、紙の日報などで作業報告を受けるという運用が一般的です。まめな担当者や責任者が絵Excelで案件の進捗を記録するケースもありますが、こうした運用では以下のような問題が生じやすくなります。
1. 複数関係者間の進捗共有が困難
ホテルの修繕業務には、フロントや客室係、施設係、支配人、外部業者、さらには本部の管理課など、様々な立場の関係者が関与します。紙やExcelで管理していると、これらの関係者がリアルタイムで同じ情報を共有することが難しく、「誰が・いつ・何を対応したのか」が不明確になりがちです。例えば、「夜間に発生した案件の引継ぎが漏れ、状況が分からなくなる」というケースも良く聞かれます。
2. 対応までに時間がかかる
紙やExcelの場合、画像などの添付が難しく状況を詳細に伝えられません。そのため、すぐ処置できる内容も、業者に現場調査を依頼して対応することになり、初動まで時間がかかってしまいます。また、故障報告書を作成したり、電話等での確認が発生すると、コミュニケーションコストもかかってしまいます。修繕対応が遅れることで、売り止めによる機会損失にも繋がってしまいます。
チャットツールの限界 ― 蓄積されない情報
近年では、チャットツールを活用して修繕依頼を行うホテルも増えてきました。確かに、即時性のあるコミュニケーションは魅力ですが、一方で以下のような課題があります。
1. 全体の状況把握が難しい
発見したトラブルをすぐ共有したり、業者が修理対応を終えたときにいち早く報告するのにチャットは非常に便利です。しかし、ホテルでは解決に時間を要する案件が複数発生する場合もあります。この案件は対応が終わったのか、今誰がボールを握っているのかなど、全体進捗を把握するのがチャットでは難しい可能性があります。
2. 対応履歴が検索しづらい
チャットでやり取りされた修繕内容は、時間が経つと流れてしまい、後から検索しにくくなります。過去のトラブルの履歴や、どの業者にいくらで依頼したかなどの記録が残らず、同じ問題が再発したときに知見を活かせない可能性があります。
「クラウドシステム」で実現する修繕業務の効率化と可視化
こうした課題を解決する手段として注目されているのが、修繕業務に特化したクラウドシステムの導入です。以下のような効果が期待できます。
1. 進捗のリアルタイム共有
システム上に画像や動画とともに修繕案件を登録でき、リアルタイムで関係者に共有することができます。また、対応状況がステータスとして可視化されるほか、業者にもシステム上から直接通知を飛ばせるため、連絡の手間が削減され、スムーズな連携が可能になります。
2. 対応履歴が資産になる
過去の対応履歴がすべてデータベースとして残るため、「以前同じトラブルがあった際はどのように対応したか」「どの業者にいくらで依頼したか」などの情報を即座に参照できます。施設改修計画の立案時にも過去のデータを活用して合理的な判断ができるようになります。
3. 属人化の解消
システムを運用することで、業務フローが意識できたり、依頼する業者の判断ができるため、新任の担当者でも迷わずに対応を引き継げます。特定の個人に頼らず、組織として対応できる仕組みを整えることが可能になります。
システム導入のハードルは?
「システム導入は大げさでコストがかかるのでは?」と不安に感じる方もいるかもしれませんが、クラウドであれば初期費用を抑え、小規模から導入することも可能です。まずは施設内の一部のスタッフ、あるいは1施設から試験的に運用し、効果を確認しながら全体展開していくのも良いでしょう。
まとめ:クラウドシステムの有効活用でスマートな運用を
修繕業務は宿泊客の安全・快適に関わる非常に重要な業務。紙・Excel・チャットといった従来のツールでは限界がある今、システムの力を借りて業務を可視化・効率化することは、現場の負担を減らしつつ、ホテル全体のサービス品質を向上することに繋がります。運用に課題を感じている場合は、専用システムの活用を検討してみてはいかがでしょうか?
なお、当社システムは、宿泊施設のメンテナンス業務に特化して設計されたクラウド型の業務支援ツールです。メンテナンス業務の運用にお悩みの方は、ぜひ一度お問合せください。